カウンセラーの倫理-多重関係とは-

SNSなどで話題に上がってきていたようですし、とても大事なことでありながら、一般の方にはあまり知られていないことでもあると思うので解説したいと思います。

多重関係とは

二重関係とも言います。カウンセリング関係と、また別の関係性を合わせてもつことを言います。

たとえば、学校の先生と生徒でありながらカウンセリングもしたり、家族に対してカウンセリングをしたり、カウンセリング関係にある人と個人の連絡先を交換して友人としても会うようになったり、というものです。

なぜ多重関係がいけないのか

一言で表しますと「クライエントの不利益になりうるから」です。

クライエント(クライアントとも表記されます)とは、カウンセリングを受ける人のことを指します。

詳しく説明していきます。

たとえば、元々友人関係にある相手とカウンセリングを始めたとします。そのカウンセリングでは、それまで知りえなかった情報を得ることもあり、それはクライエント側としては弱みでもあるでしょう。この時点で、カウンセリング関係をもつことが友人関係の方へも影響すると想像できます。

さらにカウンセリングが継続されていったとします。友人関係の方で、喧嘩をすることもあるかもしれません。喧嘩中であればカウンセリングの方でも気まずく、カウンセリングの実施をしないこともありそうです。そうすると安定したカウンセリング関係を継続できないこととなり、クライエント側の不利益となります。

また、カウンセリングの進捗がうまくいかないとき、友人関係の方にも当然影響するでしょう。結果、クライエント側としては二重の不利益となりえます。

上記の例は、先に関係以外の関係(友人関係)がありましたが、順序を逆にしても同様です。

こういった不利益が生じるという過去の失敗があるため、それを教訓として職業倫理にて多重関係は禁止されているのです。

おわりに

いかがだったでしょうか。あまり馴染みのない話だったかもしれませんが、心理職としては常に留意していることを解説してみました。周りからは「つまらないなあ」とか「かたいなあ」と思われているかもしれないのですが、これはクライエントの利益を守るためなのです。

根拠としているものもリンクを貼りますので、よかったらご参照ください。一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領の第3条です。

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